高齢者のふらつき、転倒と低血圧

ふらつきや転倒は筋力低下だけではない?

よく患者さんとの会話で「最近ふらつくのよね」「こないだ転んだの」こんな話を聞きます。

実はそのふらつきは運動機能の低下ではなく、低血圧が関係している可能性があります。

高齢者の転倒は、骨折や寝たきりのきっかけになることがあり、決して軽く考えてはいけません。

今回は、低血圧の基礎知識と、そのデメリットについてわかりやすくお伝えします。


低血圧とは?

血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことです。

一般的に、

  • 上の血圧(収縮期血圧)が90mmHg未満
  • または普段より著しく低く、症状がある状態

を低血圧と呼びます。

ただ実際に臨床現場レベルとしては100mmHg以下は低血圧の基準としています。

高血圧と違って厳密な診断基準があるわけではありませんが、「症状があるかどうか」が大切なポイントになります。


特に注意したい「起立性低血圧」

高齢者で問題になりやすいのが起立性低血圧です。

これは、

  • 横になっている状態や座っている状態から立ち上がったとき
  • 上の血圧が20mmHg以上下がる状態

を指します。

加齢とともに自律神経の働きが弱くなり、血圧をうまく調整できなくなることが原因の一つです。

このときに急激に立ち上がった際に、本来は脳まで血液が供給されるのですが、血圧が低いと脳まで十分な血液が供給されないことから、ふらついたりよろける原因となります。


低血圧が引き起こす6つのデメリット

①めまい・ふらつき

立ち上がった瞬間にクラッとするのは、脳への血流が一時的に不足するためです。

②転倒・骨折のリスク増加

ふらつきによって転倒すると、大腿骨骨折・手首の骨折・頭部打撲などにつながります。

特に高齢者の大腿骨骨折は、その後の生活に大きな影響を与えます。

厚生労働省の報告でも、高齢者の要介護原因の上位に**「骨折・転倒」**が含まれています。転倒の背景には、筋力低下だけでなく、血圧の問題も関係しているのです。

③慢性的なだるさ

血圧が低い状態では、全身に十分な血液が行き届きにくくなります。

疲れやすい、やる気が出ない、朝がつらい——こうした症状も低血圧の影響であることがあります。

④集中力の低下

脳の血流が安定しないと、ぼんやりする・判断力が落ちるといった状態になりやすく、これも転倒につながる要因になります。
また血圧が低い人ほど認知症になりやすいという見解もありますので注意が必要です。

⑤失神の危険

重度の場合、一時的に意識を失うこともあります。これは非常に危険な状態です。

⑥免疫力の低下

血圧が低い=全身の隅々まで血液を送る強さが弱い ということになります。
血液には酸素や栄養素などを全身に運搬する働きがあるため、血圧が低いと免疫力低下につながります。


「体質だから仕方ない」と思わないで

低血圧は、「昔からだから」「家系だから」と軽く見られがちです。

しかし高齢者にとっては、転倒→骨折→寝たきりにつながる大切なサインかもしれません。

ふらつきがある方は、まず「血圧」を確認してみましょう。

血圧が低くなっている原因は何か

よくあるものとして2つ例を挙げます。

①降圧剤による血圧の下がりすぎ

血圧の薬を飲んでいる高齢者で多いのはこちらです。
「病院に行って薬が変わってから、ふらつきが増えた」というのはよく聞きます。
また、初見としては
・ぼーっとすることが増えた
・顔色が蒼白になっている
・少し物忘れが増えた

これらは降圧剤が合っていない可能性もあるので、一度主治医に相談されると良いかと思います。

②減塩食の摂取

最近減塩というワードが多く見かけますが、もちろん高血圧症の人は塩分を節制する必要がある場合が多いですが、健常な方がそれをしてしまうとナトリウムが不足して低血圧になることもあります。
よくあるのは家族の方に高血圧症の方がいて、その方に合わせた食事をみんな食べるというのはよくあります。
例えば細かい話になりますが、高血圧症のお父さんには専用の減塩醤油、他の家族は普通の醤油を使うなどした方がよろしいかと思います。

まとめ

人の体は個々で違いますので、メディアなどで「〇〇にはこの食品!」などというものを鵜呑みにしてしまうと、反対に健康を害すこともあります。
自身の体をよく自分でも確認してみると、そのようなことを防ぐ一つのきっかけになると思うので、自分の体と向き合う時間を1週間に1回くらい作ってみるといいですね。

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